2026.02.12
抄読会レポート:固形臓器移植患者のグラム陰性菌菌血症に対する経口抗菌薬治療の有効性
かつて静注抗菌薬による治療が基本とされてきたさまざまな感染症に対して、近年では早期に内服抗菌薬へ切り替えることが可能であるというエビデンスが蓄積してきています。免疫機能に問題のない成人のグラム陰性桿菌菌血症では、このような管理が広く受け入れられつつあります。しかし、免疫抑制薬を使用している患者を対象としたデータは十分ではありません。
今回の抄読会では、固形臓器移植患者を対象に、グラム陰性菌菌血症に対する経口抗菌薬治療の有効性と安全性を検討した後ろ向き観察研究を取り上げました。結果として、経口抗菌薬への切り替えは、静注治療を継続した場合と比較して、30日以内の死亡、菌血症の再発、静注抗菌薬の再導入といった治療失敗率に有意差を認めませんでした。感受性のある経口薬が選択され、感染源が適切にコントロールされている症例では、経口治療が現実的な選択肢となり得ることが示唆されます。
抄読会では、移植臓器の種類や菌血症の原因となった感染症の偏り、使用された経口抗菌薬の選択などについて議論が交わされました。特定の背景を持つ患者における抗菌薬治療の最適化は、薬剤耐性対策の観点からも重要であり、今後のさらなる研究が期待されます。
今回取り上げた論文は下記のとおりです。
Oral Antibiotics for Treatment of Gram-Negative Bacteremia in Solid Organ Transplant Recipients: A Propensity Score Weighted Retrospective Observational Study.
Clin Infect Dis. 2024;79(1):208-214.
※ 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。