従来、発熱性好中球減少症(febrile neutropenia, FN)に対する抗菌薬治療は好中球が回復するまで継続することが必要と考えられてきました。しかし近年は抗菌薬長期使用による薬剤耐性菌の増加や、入院期間延長に伴う負担などの課題が指摘され、好中球回復前の早期中止に関するデータも蓄積されてきています。小児患者を対象とした国際的なガイドラインでも、低リスクの場合には好中球回復前の抗菌薬の早期中止が条件付きで推奨されていますが、高リスクの場合のデータは限られていました。
今回の抄読会では、小児の急性白血病における高リスクのFN患者に対して、解熱後72時間で抗菌薬を中止する戦略が、好中球回復まで継続する従来の方針と比較して非劣性であることを検証したランダム化比較試験を取り上げました。その結果、主要評価項目である再発熱率について非劣性が確認され、早期終了群では抗菌薬投与期間が短縮していました。
抄読会では、白血病のタイプや治療強度による結果の違い、および研究から除外された患者の背景因子などについて議論が交わされました。また、インドで実施された研究であり、日本とは使用される抗菌薬の種類や優先順位に差があることや、耐性菌の疫学の違いについても配慮が必要といった議論がありました。このような研究を通じてデータが蓄積され、抗菌薬の適正使用や薬剤耐性菌対策がさらに進むことが期待されます。
今回取り上げた論文は下記のとおりです。
Early stoppage of empirical antibiotic therapy in paediatric acute leukaemia with high-risk febrile neutropenia: a randomized, open-label, phase 3, non-inferiority trial.
EClinicalMedicine. 2025;90:103610.
※ 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。