活動報告

Activity

2026年 活動報告

2026.02.10

【医師向け】令和7年度新型コロナウイルス感染症罹患後症状治療研究会を開催しました

山梨県内の医師を対象とした、令和7年度新型コロナウイルス感染症罹患後症状治療研究会をオンラインで開催しました。3年振りご登壇頂いて罹患後症状診療の現状と残る課題についてご講演頂きました。豊富な診療経験による貴重なお話を伺い、大変勉強になりました。

 

「新型コロナウイルス感染症罹患後症状-診療の現状と残る課題―」
日時:令和7年2月10日(火)午後7時00分~午後8時30分
方法:オンライン開催(Zoom ミーティング)
講師:岡山大学学術研究院 医歯薬学域・総合内科学 教授 大塚 文男 先生

2026.02.12

抄読会レポート:固形臓器移植患者のグラム陰性菌菌血症に対する経口抗菌薬治療の有効性

かつて静注抗菌薬による治療が基本とされてきたさまざまな感染症に対して、近年では早期に内服抗菌薬へ切り替えることが可能であるというエビデンスが蓄積してきています。免疫機能に問題のない成人のグラム陰性桿菌菌血症では、このような管理が広く受け入れられつつあります。しかし、免疫抑制薬を使用している患者を対象としたデータは十分ではありません。

 

今回の抄読会では、固形臓器移植患者を対象に、グラム陰性菌菌血症に対する経口抗菌薬治療の有効性と安全性を検討した後ろ向き観察研究を取り上げました。結果として、経口抗菌薬への切り替えは、静注治療を継続した場合と比較して、30日以内の死亡、菌血症の再発、静注抗菌薬の再導入といった治療失敗率に有意差を認めませんでした。感受性のある経口薬が選択され、感染源が適切にコントロールされている症例では、経口治療が現実的な選択肢となり得ることが示唆されます。

 

抄読会では、移植臓器の種類や菌血症の原因となった感染症の偏り、使用された経口抗菌薬の選択などについて議論が交わされました。特定の背景を持つ患者における抗菌薬治療の最適化は、薬剤耐性対策の観点からも重要であり、今後のさらなる研究が期待されます。

 

 

今回取り上げた論文は下記のとおりです。

Oral Antibiotics for Treatment of Gram-Negative Bacteremia in Solid Organ Transplant Recipients: A Propensity Score Weighted Retrospective Observational Study. 

Clin Infect Dis. 2024;79(1):208-214.

 

 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。

2026.02.10

抄読会レポート:“かぜ”に対する経鼻スプレーと行動介入の効果

昨今、薬剤耐性菌への懸念から、抗菌薬の適正使用は世界的な課題となっています。特にプライマリケアでは、呼吸器感染症に対する不要な抗菌薬処方を減らすことが重要です。もし、呼吸器感染症を予防したり、症状の持続期間を短縮できる低コストの介入があれば、抗菌薬使用の抑制につながり、公衆衛生上の意義も大きくなります。先行研究ではさまざまな経鼻スプレーや、ストレス管理を促す行動介入が一定の効果を示す可能性が指摘されてきました。

 

今回の抄読会では、2種類の経鼻スプレー(ジェル状スプレー、生理食塩水スプレー)およびストレス管理を促すオンライン行動介入プログラムが、通常診療と比較して急性呼吸器感染症(かぜ症状)に対して有効かを検討した英国のランダム化比較試験を取り上げました。主要評価項目であるかぜ症状の持続期間は、いずれの経鼻スプレー群でも通常ケアより有意に短縮していました。また、副次評価項目として検討された抗菌薬の使用は、2種類のスプレー群と行動介入群のいずれでも減少していました。

 

抄読会では、プラセボ対照が難しい研究デザインである点、評価が自己申告に基づく点、病原体が特定されていない点などの限界について議論がありました。それでも、今回の介入はいずれも医療機関を受診しなくても市販の鼻スプレーを購入すれば実施できる点が魅力であり、将来的に公衆衛生的な対策として活用できる可能性が示唆されました。

 

 

今回取り上げた論文は下記のとおりです。

Nasal sprays and behavioural interventions compared with usual care for acute respiratory illness in primary care: a randomised, controlled, open-label, parallel-group trial. 

Lancet Respir Med. 2024;12(8):619-632.

 

 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。

2026.01.22

抄読会レポート:HPVワクチンの1回接種vs2回接種の非劣性試験

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは子宮頸がん予防の重要な役割を担っています。近年、国際的には2回接種が標準的な接種回数とされていましたが、世界全体でのワクチン接種率は依然として不十分な状況が続いていました。その後、1回接種の有効性を示唆するデータが示されたことと、ワクチンへのアクセス向上という視点も踏まえて、WHOは1回接種を代替のスケジュールとして提示しています。

 

今回取り上げた論文は、コスタリカの12歳から16歳の女性を対象に、HPVワクチンの1回接種が2回接種に対して非劣性であることを検証したランダム化比較試験です。その結果、5年間の追跡期間において主要評価項目であるHPV16およびHPV18の持続感染に対する予防効果は1回接種が2回接種に対して非劣性であることが示されました。

 

抄読会では、この研究によってWHOの1回接種の推奨を支持するデータが示されたことや、日本の現在のHPVワクチンの推奨スケジュールとの違いなどが取り上げられました。今回の研究によって、世界規模でのHPVワクチンの接種率向上に寄与することが期待されます。

 

今回取り上げた論文は下記のとおりです。

Noninferiority of One HPV Vaccine Dose to Two Doses.

N Engl J Med. 2025;393(24):2421-2433.

 

 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。

2026.01.21

高齢者関連事業者【入所系】向け感染症対策研修を開催しました

高齢者関連事業者【入所系施設】向け感染症対策研修をオンラインで開催しました。各施設における日常業務でのお困り事を事前にお伺いして、山梨大学医学部附属病院感染制御部の講師が皆様からの質問に答えました。また、皆様からお寄せいただいた、難渋した例、うまくいった例を共有することによって、今後の施設運営の参考にして頂きました。80名を超える皆様にご参加頂き、日頃から感染対策に熱心に取り組んでくださっていることを再確認いたしました。今後も皆様に有益な情報を発信してまいります。

 

 

2026.01.20

抄読会レポート:小児の高リスクFNにおける抗菌薬の中止時期

従来、発熱性好中球減少症(febrile neutropenia, FN)に対する抗菌薬治療は好中球が回復するまで継続することが必要と考えられてきました。しかし近年は抗菌薬長期使用による薬剤耐性菌の増加や、入院期間延長に伴う負担などの課題が指摘され、好中球回復前の早期中止に関するデータも蓄積されてきています。小児患者を対象とした国際的なガイドラインでも、低リスクの場合には好中球回復前の抗菌薬の早期中止が条件付きで推奨されていますが、高リスクの場合のデータは限られていました。

 

今回の抄読会では、小児の急性白血病における高リスクのFN患者に対して、解熱後72時間で抗菌薬を中止する戦略が、好中球回復まで継続する従来の方針と比較して非劣性であることを検証したランダム化比較試験を取り上げました。その結果、主要評価項目である再発熱率について非劣性が確認され、早期終了群では抗菌薬投与期間が短縮していました。

 

抄読会では、白血病のタイプや治療強度による結果の違い、および研究から除外された患者の背景因子などについて議論が交わされました。また、インドで実施された研究であり、日本とは使用される抗菌薬の種類や優先順位に差があることや、耐性菌の疫学の違いについても配慮が必要といった議論がありました。このような研究を通じてデータが蓄積され、抗菌薬の適正使用や薬剤耐性菌対策がさらに進むことが期待されます。

  

今回取り上げた論文は下記のとおりです。

Early stoppage of empirical antibiotic therapy in paediatric acute leukaemia with high-risk febrile neutropenia: a randomized, open-label, phase 3, non-inferiority trial.

EClinicalMedicine. 2025;90:103610.

 

 感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。

2026.01.14

高齢者関連事業者【訪問系・通所系】向け感染症対策研修を開催しました

高齢者関連事業者【訪問系・通所系施設】向け感染症対策研修をオンラインで開催しました。各施設における日常業務でのお困り事を事前にお伺いして、山梨大学医学部附属病院感染制御部の講師が皆様からの質問に答えました。また、皆様からお寄せいただいた、難渋した例、うまくいった例を共有することによって、今後の施設運営の参考にして頂きました。120名を超える皆様にご参加頂き、日頃から感染対策に熱心に取り組んでくださっていることを再確認いたしました。今後も皆様に有益な情報を発信してまいります。

 

ページトップへ戻る