活動報告

Activity

2025.12.23

抄読会レポート:淋菌感染症の新たな治療選択肢 新規経口抗菌薬 gepotidacin の非劣性試験 (EAGLE-1)

性感染症として有名な淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は、過去に使用されてきた抗菌薬の多くに薬剤耐性が報告されており、現在では標準治療として注射剤であるセフトリアキソンが世界的に推奨されています。しかし、セフトリアキソンに対する耐性菌の報告が増加しており、将来的に治療が困難となる懸念が指摘されています。

 

今回の抄読会では、合併症のない淋菌感染症に対して、新規の経口抗菌薬 gepotidacin が、従来のセフトリアキソン注射(+アジスロマイシン内服の併用)による治療に対して非劣性かどうかを比較したランダム化試験を取り上げました。結果として、gepotidacin の微生物学的治癒率は 92.6%であり、従来の治療の微生物学的治癒率 91.2% と同等の有効性を示したことが報告されました。

 

薬剤耐性淋菌の治療選択肢が増えるという点もさることながら、経口で完結する抗菌薬の登場は淋菌感染症の診療において大きな意義を持ちます。実際に米国食品医薬品局(FDA)は、この gepotidacin と、同じく新規の経口抗菌薬である zoliflodacin を淋菌感染症に対する治療薬として承認したと報告されています。今後は、各国のガイドラインにおける位置づけや、日本国内での承認の行方などについても注目されていくと考えられます。

 

今回取り上げた論文は下記のとおりです。
Oral gepotidacin for the treatment of uncomplicated urogenital gonorrhoea (EAGLE-1): a phase 3 randomised, open-label, non-inferiority, multicentre study.
Lancet. 2025;405(10489):1608-1620.

 

感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。本記事は感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。

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