2025.11.25
【千葉大学真菌医学講習会 参加報告】
第37回 千葉大学真菌医学講習会に参加する機会をいただきました。
例年、本講習会は夏季に実施されていますが、今年は11月19日から21日の3日間で開催となりました。千葉大学医学部キャンパスの銀杏並木が鮮やかに色づく季節で、受講者にとって印象深い研修となりました。
参加者は、関東近郊の主要医療機関に勤務する中堅〜ベテラン細菌検査技師の方々がほとんどで、各施設で真菌診断の重要性や知識アップデートの必要性が一段と高まっていることを実感じました。
午前の講義は、千葉真菌医学研究センターの矢口先生、渡邉先生、伴先生をはじめ、岐阜大学糖鎖生命コア研究所の林先生、理化学研究所の遠藤先生の先生方により、真菌学の基礎、病原真菌の形態学的鑑別、臨床材料のバイオセーフティレベルの取り扱い、薬剤感受性試験(CLSI M27/M38法)、MALDI-TOF MSを用いた迅速同定法まで幅広く講義いただきました。
午後の実習は大変充実し、初めて観察する真菌を含め、鏡検標本を自ら作成しながら形態学的特徴を観察するのは非常に学びが深いものになりました。iPhoneを使った顕微鏡接写技術が思いがけず上達し、写真フォルダ内には真菌図鑑コレクションを作れたのは貴重な財産です。また実習最後には、細菌検査室での教育・訓練用として活用できるよう27株の病原真菌セットを分与いただきました。当院の細菌検査技師および医学生教育において、真菌同定技術の底上げに大いに活用したいと考えています。
3日間を通して、真菌診断の奥深さと真菌が作り出す多様な形態美をあらためて実感するとともに、日頃の感染症診療、検査業務にも直結する実践的知識を習得できた、大変有意義な研修となりました。
今後、バイオセーフティレベルの高い病原真菌感染症が疑われる症例や、難治症例で真菌同定・薬剤感受性に迷う症例については、千葉大学真菌医学研究センターへ積極的に相談させていただきたいと考えています。
最後に、丁寧なご指導を賜りました千葉真菌医学研究センター講師の先生方に、心より御礼申し上げます。
感染症学講座 横森良平


