2025.10.02
抄読会レポート:抗菌薬併用下のCDI治療におけるフィダキソマイシンとバンコマイシンの比較
感染症学講座では、専門人材の育成と学生教育を目的として、感染症分野の注目論文を取り上げる抄読会を定期的に開催しています。今回はその一環として、以下の論文を取り上げました。
An Open-Label, Randomized Trial Comparing Fidaxomicin With Oral Vancomycin for the Treatment of Clostridioides difficile Infection in Hospitalized Patients Receiving Concomitant Antibiotics for Concurrent Infections
Clin Infect Dis. 2024;78(2):277-282.
Clostridioides difficile 感染症(以下、CDI)の治療薬として、メトロニダゾール、経口バンコマイシンのほかに、フィダキソマイシンがあります。日本とアメリカでCDIの主要な菌株が異なっていることなどから、アメリカでは経口バンコマイシンかフィダキソマイシンが使用されており、先行研究でその効果の優劣が検討されています。本研究は、他の感染症治療のために抗菌薬を併用している入院患者に発生したCDIに対して、フィダキソマイシンと経口バンコマイシンを比較した試験です。その結果、フィダキソマイシン群は治療終了時の成功率で良好な傾向を示したものの有意差はなく、再発率や安全性も同程度でした。この結果を踏まえて抄読会では、各薬剤の費用も考慮して治療薬を選択することも必要性についても議論されました。
※ 本記事は、感染症学講座における抄読会の活動報告を目的として作成されたものであり、特定の疾患に対する診断・治療を推奨または否定するものではありません。内容の正確性には十分配慮しておりますが、詳細については必ず元の論文をご確認ください。なお、実際の医療現場での適応に関しては、医療専門職の判断に基づいてご対応ください。